「部分積分法」のコツ
数学のコツ部分積分法は微積分学の中でも特に重要な積分技法の一つですが、多くの学生が「どの関数をuにして、どれをdvにすればいいの?」という疑問に悩まされます。今回は、部分積分法を確実にマスターするためのコツとテクニックをご紹介します。
部分積分法の基本公式
まず基本を確認しましょう。部分積分法の公式は:
∫u dv = uv - ∫v du
ここで重要なのは、積分したい関数f(x)g(x)に対して、どちらをu、どちらをdvに選ぶかです。
最重要のコツ:LIATE法則
部分積分で最も役立つのがLIATE法則です。この順番で優先的にuを選びます:
- Logarithmic(対数関数):ln x, log x など
- Inverse trigonometric(逆三角関数):arcsin x, arctan x など
- Algebraic(代数関数):x, x², x³ など
- Trigonometric(三角関数):sin x, cos x など
- Exponential(指数関数):eˣ, aˣ など
覚え方:「ライアテ」と覚えましょう!
なぜこの順番なの?
この順番には理由があります:
- 対数関数や逆三角関数は微分すると簡単になる
- 指数関数や三角関数は積分しても複雑にならない
- 代数関数は微分すると次数が下がる
実践的なコツ
コツ1:「微分して簡単、積分しても大丈夫」を意識
uに選ぶ関数は微分すると簡単になるもの、dvに選ぶ関数は積分しても複雑にならないものを選びます。
例:∫x sin x dx
- u = x(微分すると1になって簡単)
- dv = sin x dx(積分しても-cos xで複雑にならない)
コツ2:多項式の次数を下げる戦略
多項式が含まれている場合、多項式をuに選んで次数を下げていくのが基本戦略です。
例:∫x² eˣ dx
- 1回目:u = x²,dv = eˣ dx
- 2回目:u = 2x,dv = eˣ dx
- 3回目:u = 2,dv = eˣ dx
コツ3:対数関数は必ずuに
対数関数が含まれている場合、ほぼ100%対数関数をuに選びます。
例:∫ln x dx
- u = ln x,dv = dx
- これで∫ln x dx = x ln x - x + C
コツ4:循環する場合の対処法
時々、部分積分を2回行うと元の積分に戻ってくることがあります。これは実はチャンス!
例:∫eˣ sin x dx
- u = eˣ,dv = sin x dx → eˣ(-cos x) + ∫eˣ cos x dx
- u = eˣ,dv = cos x dx → eˣ sin x - ∫eˣ sin x dx
元の積分が右辺に現れたら、移項して解けます!
よくある間違いとその対策
間違い1:uとdvの選択ミス
❌ ∫x ln x dx で u = x, dv = ln x dx ⭕ ∫x ln x dx で u = ln x, dv = x dx
間違い2:計算ミス
部分積分は計算が複雑になりがちです。各ステップを丁寧に確認しましょう。
- duの計算(微分)
- vの計算(積分)
- 符号の管理
間違い3:途中で諦める
部分積分は複数回必要な場合があります。1回で解けなくても継続しましょう。
練習問題で確認
以下の積分でLIATE法則を適用してみましょう:
- ∫x cos x dx → A(代数) vs T(三角) → u = x
- ∫ln x dx → L(対数) → u = ln x
- ∫x² eˣ dx → A(代数) vs E(指数) → u = x²
- ∫arctan x dx → I(逆三角) → u = arctan x
まとめ
部分積分法の成功の鍵は:
- LIATE法則を覚える
- 「微分して簡単、積分しても大丈夫」を意識
- 計算を丁寧に進める
- 循環パターンを見逃さない
最初は難しく感じるかもしれませんが、これらのコツを意識して練習を重ねれば必ずマスターできます。部分積分法は多くの積分問題を解く強力な武器になりますので、ぜひ身につけてください!