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「部分積分法」のコツ

数学のコツ

部分積分法は微積分学の中でも特に重要な積分技法の一つですが、多くの学生が「どの関数をuにして、どれをdvにすればいいの?」という疑問に悩まされます。今回は、部分積分法を確実にマスターするためのコツとテクニックをご紹介します。

部分積分法の基本公式

まず基本を確認しましょう。部分積分法の公式は:

∫u dv = uv - ∫v du

ここで重要なのは、積分したい関数f(x)g(x)に対して、どちらをu、どちらをdvに選ぶかです。

最重要のコツ:LIATE法則

部分積分で最も役立つのがLIATE法則です。この順番で優先的にuを選びます:

  1. Logarithmic(対数関数):ln x, log x など
  2. Inverse trigonometric(逆三角関数):arcsin x, arctan x など
  3. Algebraic(代数関数):x, x², x³ など
  4. Trigonometric(三角関数):sin x, cos x など
  5. Exponential(指数関数):eˣ, aˣ など

覚え方:「ライアテ」と覚えましょう!

なぜこの順番なの?

この順番には理由があります:

  • 対数関数や逆三角関数は微分すると簡単になる
  • 指数関数や三角関数は積分しても複雑にならない
  • 代数関数は微分すると次数が下がる

実践的なコツ

コツ1:「微分して簡単、積分しても大丈夫」を意識

uに選ぶ関数は微分すると簡単になるもの、dvに選ぶ関数は積分しても複雑にならないものを選びます。

例:∫x sin x dx

  • u = x(微分すると1になって簡単)
  • dv = sin x dx(積分しても-cos xで複雑にならない)

コツ2:多項式の次数を下げる戦略

多項式が含まれている場合、多項式をuに選んで次数を下げていくのが基本戦略です。

例:∫x² eˣ dx

  • 1回目:u = x²,dv = eˣ dx
  • 2回目:u = 2x,dv = eˣ dx
  • 3回目:u = 2,dv = eˣ dx

コツ3:対数関数は必ずuに

対数関数が含まれている場合、ほぼ100%対数関数をuに選びます。

例:∫ln x dx

  • u = ln x,dv = dx
  • これで∫ln x dx = x ln x - x + C

コツ4:循環する場合の対処法

時々、部分積分を2回行うと元の積分に戻ってくることがあります。これは実はチャンス!

例:∫eˣ sin x dx

  1. u = eˣ,dv = sin x dx → eˣ(-cos x) + ∫eˣ cos x dx
  2. u = eˣ,dv = cos x dx → eˣ sin x - ∫eˣ sin x dx

元の積分が右辺に現れたら、移項して解けます!

よくある間違いとその対策

間違い1:uとdvの選択ミス

❌ ∫x ln x dx で u = x, dv = ln x dx ⭕ ∫x ln x dx で u = ln x, dv = x dx

間違い2:計算ミス

部分積分は計算が複雑になりがちです。各ステップを丁寧に確認しましょう。

  • duの計算(微分)
  • vの計算(積分)
  • 符号の管理

間違い3:途中で諦める

部分積分は複数回必要な場合があります。1回で解けなくても継続しましょう。

練習問題で確認

以下の積分でLIATE法則を適用してみましょう:

  1. ∫x cos x dx → A(代数) vs T(三角) → u = x
  2. ∫ln x dx → L(対数) → u = ln x
  3. ∫x² eˣ dx → A(代数) vs E(指数) → u = x²
  4. ∫arctan x dx → I(逆三角) → u = arctan x

まとめ

部分積分法の成功の鍵は:

  1. LIATE法則を覚える
  2. 「微分して簡単、積分しても大丈夫」を意識
  3. 計算を丁寧に進める
  4. 循環パターンを見逃さない

最初は難しく感じるかもしれませんが、これらのコツを意識して練習を重ねれば必ずマスターできます。部分積分法は多くの積分問題を解く強力な武器になりますので、ぜひ身につけてください!

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