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「対偶の証明」のコツ

数学のコツ 「対偶の証明」のコツ

 

【数学】証明問題が苦手な人必見!対偶の証明を使いこなす3つのコツ

「証明問題って、何から手をつけていいか分からない…」

「直接証明しようとしたけど、うまくいかない…」

数学の証明問題、特に「〜ならば〜であることを証明せよ」という形の命題で、手が止まってしまうことはありませんか?そんなあなたにこそ知ってほしいのが、対偶(たいぐう)を利用した証明法です。

対偶の証明は、一見難しそうな問題も驚くほどシンプルに解き明かすことができる強力な武器になります。この記事では、対偶の証明を使いこなすための3つのコツを、具体例を交えながら分かりやすく解説します。

そもそも「対偶」って何だっけ? 🤔

対偶の証明を使いこなす前に、まずは「対偶」が何かを復習しましょう。

ある命題「p ならば q である」に対して、その対偶は「q でないならば p でない」となります。

ポイント

元の命題とその対偶の真偽は必ず一致します。つまり、「対偶が真である」ことを証明できれば、「元の命題も真である」と言えるのです。

例:

  • 元の命題: 「x = 2 ならば x² = 4」 (真)
  • 対偶: 「x² ≠ 4 ならば x ≠ 2」 (真)

コツ1:対偶の証明を使う「タイミング」を見極める!

どんな時に対偶の証明が有効なのでしょうか?主に以下の2つのケースで威力を発揮します。

① 結論に「〜でない」が含まれる場合

結論が否定の形をしている命題は、直接証明するのが難しいことがあります。対偶をとることで、この「〜でない」を肯定の形に変換でき、考えやすくなります。

② 結論に「または」が含まれる場合

「A または B」を証明するのは、「A の場合」と「B の場合」で場合分けが必要になり、複雑になりがちです。対偶をとると、「A でない かつ B でない」という形になり、条件が一つに絞られるため、証明が格段に楽になります。

まとめ

「結論が複雑なとき、対偶を疑え!」 と覚えておきましょう。

コツ2:証明の「型」をマスターする!

対偶の証明は、書く手順がある程度決まっています。この「型」を覚えてしまえば、どんな問題にも応用できます。

証明の4ステップ

  1. 【宣言】 元の命題とその対偶をはっきりと書く。
  2. 【証明開始】 「この対偶を証明する」と宣言する。
  3. 【証明実行】 対偶の仮定から出発し、論理的に結論を導く。
  4. 【結論】 対偶が真であることが示されたので、元の命題も真であると締めくくる。

この流れを意識するだけで、答案がすっきりと論理的になります。

コツ3:具体例で「勝ちパターン」を体感する!

百聞は一見に如かず。実際の例題で対偶の証明がどれだけ強力か見てみましょう。

例題1:結論に「〜でない」がないが、対偶が有効なケース

命題: 整数 n について、n² が偶数ならば、n は偶数である。

【直接証明しようとすると…】

n² = 2k (kは整数) とおいて、n が偶数であることを示そうとしても、n = √2k となり、√ の扱いに困ってしまいます。

【対偶の証明なら…】

  1. 【宣言】

    元の命題:「整数 n について、n² が偶数ならば、n は偶数である」

    対偶:「整数 n について、n が奇数ならば、n² は奇数である」

  2. 【証明開始】

    この対偶を証明する。

  3. 【証明実行】

    n が奇数であるから、ある整数 k を用いて n = 2k + 1 と表せる。

    このとき、

    n² = (2k + 1)²

    = 4k² + 4k + 1

    = 2(2k² + 2k) + 1

    ここで、2k² + 2k は整数なので、n² は奇数である。

  4. 【結論】

    よって、対偶が真であることが証明された。したがって、元の命題も真である。

どうでしょうか? 直接証明では行き詰まってしまった問題が、対偶を使えばあっという間に証明できました。

例題2:結論に「または」があるケース

命題: 実数 x, y について、x + y > 4 ならば、「x > 2 または y > 2」である。

【対偶の証明】

  1. 【宣言】

    元の命題:「x + y > 4 ならば、『x > 2 または y > 2』である」

    対偶:「『x ≤ 2 かつ y ≤ 2』ならば、x + y ≤ 4 である」

    (「>」の否定は「≤」になることに注意!)

  2. 【証明開始】

    この対偶を証明する。

  3. 【証明実行】

    仮定より、x ≤ 2 であり、y ≤ 2 である。

    これらの両辺を足し合わせると、

    x + y ≤ 2 + 2

    したがって、x + y ≤ 4 が成り立つ。

  4. 【結論】

    よって、対偶が真であることが証明された。したがって、元の命題も真である。

「または」が「かつ」に変わるだけで、こんなにも考えやすくなるのです。

まとめ

対偶の証明は、決して特別なテクニックではありません。証明問題で行き詰まったときの、強力な「迂回路」です。

  • コツ1:結論が複雑なとき(「〜でない」「または」)に使う!
  • コツ2:証明の型(宣言→開始→実行→結論)を覚える!
  • コツ3:簡単な例で成功体験を積む!

これらのコツを意識して練習すれば、対偶の証明はあなたの得意技になるはずです。証明問題への苦手意識を克服し、数学の面白さをさらに深く味わってみましょう!

 

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