「2次関数の最大最小」のコツ③(軸が動く)
数学のコツ
【高校数学】2次関数の最大・最小:軸が動く場合を徹底攻略!
2次関数の最大値・最小値を求める問題は、高校数学の最初の難関の一つですよね。特に、「軸が動く場合」の問題でつまずく人は少なくありません。
でも、大丈夫! 今回は、軸が動く2次関数の最大・最小問題を、誰でも理解できるように徹底解説していきます。いくつかのポイントを押さえれば、もう怖くありませんよ!
1. 軸が動くってどういうこと?
まず、「軸が動く」とはどういうことでしょうか?
一般的な2次関数は、
の形で表されます。このとき、軸の方程式は ですね。例えば、
のような2次関数を考えてみましょう。この場合、軸の方程式は となります。変数 の値によって軸の位置が変わるため、「軸が動く」と表現されるわけです。そして、この「動く軸」に対して、定義域(グラフを考える範囲)が固定されている、というのがこの問題の基本的な設定です。
2. 軸が動く場合の攻略の鍵は「場合分け」!
軸が動く2次関数の最大・最小問題を解く上で、最も重要なのが**「場合分け」**です。
なぜ場合分けが必要なのでしょうか? それは、軸の位置によって、放物線の頂点が定義域内にあるのか、あるいは定義域のどちらかの端が最大値・最小値を与えるのかが変わってくるからです。
具体的には、以下の3つのパターンに分けて考えるのが一般的です。
- 軸が定義域の左側にある場合
- 軸が定義域の内部にある場合
- 軸が定義域の右側にある場合
さらに、最大値を求める場合と最小値を求める場合で、場合分けの基準や考えるべき点が少し異なります。
2.1. 最小値を求める場合
最小値を求める場合は、**「頂点が定義域内にあるかどうか」**が非常に重要です。
- ケース1:軸が定義域の左側にあるとき
- この場合、放物線は定義域の左端から右上がりに伸びていきます。したがって、最小値は定義域の左端でとります。
- ケース2:軸が定義域の内部にあるとき
- この場合、放物線の頂点が定義域内にあるため、最小値は頂点でとります。
- ケース3:軸が定義域の右側にあるとき
- この場合、放物線は定義域の左側から右下がりに進み、軸を過ぎてから再び上がっていきます。したがって、最小値は定義域の右端でとります。
これらの境目は、軸と定義域の端点の大小関係で判断します。
2.2. 最大値を求める場合
最大値を求める場合は、「軸が定義域の中央より左にあるか、右にあるか」、そして**「軸が定義域の端点に重なるかどうか」**が重要になります。
-
下に凸の放物線の場合(
)- 最大値は、定義域の端点のどちらかでとります。
- ケース1:軸が定義域の中央より左側にあるとき
- 放物線は定義域の左端から中央に向かって下がり、その後上がっていくため、最大値は定義域の右端でとります。
- ケース2:軸が定義域の中央より右側にあるとき
- 放物線は定義域の左端から軸に向かって上がり、その後下がっていくため、最大値は定義域の左端でとります。
- ケース3:軸が定義域の中央にあるとき
- 定義域の左右対称の位置に軸があるため、最大値は定義域の左右両端でとります。(この場合、どちらの端でとっても値は同じになります)
-
上に凸の放物線の場合(
)- 最大値は、頂点が定義域内にあるかどうかが重要です。
- ケース1:軸が定義域の左側にあるとき
- 放物線は定義域の左端から右下がりに伸びていくため、最大値は定義域の左端でとります。
- ケース2:軸が定義域の内部にあるとき
- 放物線の頂点が定義域内にあるため、最大値は頂点でとります。
- ケース3:軸が定義域の右側にあるとき
- 放物線は定義域の左側から右上がりに進み、軸を過ぎてから再び下がっていきます。したがって、最大値は定義域の右端でとります。
3. 具体的な手順(フローチャート形式)
問題を解く際には、以下の手順で進めていきましょう。
- 与えられた2次関数を平方完成し、軸の方程式を求める。
- の形にして、軸が であることを明確にします。
- グラフの概形をイメージする。
- 下に凸か上に凸か、 の符号を確認します。
- 定義域と軸の位置関係を考える。
- 数直線を書いて、定義域と軸のおおよその位置関係を視覚化すると分かりやすいです。
- 場合分けを行う。
- 軸と定義域の端点の大小関係、または軸と定義域の中央の値の大小関係を基準に場合分けします。
- それぞれの区間において、どこで最大値・最小値をとるかを判断します。
- それぞれのケースで、最大値または最小値を計算する。
- の値を代入して、具体的な値を求めます。
- 結果をまとめて記述する。
- 各場合分けにおける最大値・最小値と、そのときの (または軸)の範囲を明記します。
4. コツと注意点
- グラフを必ず描く!
- 頭の中で考えるだけでなく、簡単なグラフの概形を丁寧に描くことで、場合分けの判断ミスを防げます。
- 境目を見落とさない!
- 例えば、「軸が定義域の左端と一致する場合」など、ちょうど境目となるケースも忘れずに考慮しましょう。
- 等号の扱いに注意!
- 場合分けの際に、 と のどちらを使うか、一貫性を持たせましょう。基本的には、どちらかの区間に含めれば大丈夫ですが、迷ったら両方に含めても問題ないことが多いです(値が同じになるため)。
- 焦らず丁寧に!
- 複雑に見えますが、一つ一つのステップを丁寧に踏んでいけば必ず解けます。
まとめ
2次関数の最大・最小で軸が動く問題は、一見難しそうに見えますが、「平方完成で軸を特定」「グラフのイメージ」「丁寧な場合分け」という3つのポイントを押さえれば、必ず攻略できます。
諦めずに、たくさんの問題を解いて練習を重ねましょう! きっと、この問題が得意分野になりますよ!