「2次方程式の解と係数の関係」のコツ
数学のコツ2次方程式を学習する上で避けて通れない重要な概念が「解と係数の関係」です。一見複雑に見えるこの関係式も、コツを掴めば驚くほど簡単に使いこなせるようになります。
基本の公式を確認しよう
2次方程式 ax² + bx + c = 0 の2つの解を α、β とすると:
- α + β = -b/a(解の和)
- αβ = c/a(解の積)
この2つの公式が「解と係数の関係」の核心です。
なぜこの関係が成り立つのか?
2次方程式の解の公式から導き出すことができますが、より直感的に理解するには因数分解で考えてみましょう。
ax² + bx + c = a(x - α)(x - β)
これを展開すると: ax² + bx + c = a[x² - (α + β)x + αβ] = ax² - a(α + β)x + aαβ
係数を比較すると:
- x²の係数:a = a ✓
- xの係数:b = -a(α + β) → α + β = -b/a
- 定数項:c = aαβ → αβ = c/a
実践的な活用法とコツ
コツ1:解を求めずに和と積を計算
例題:x² - 5x + 6 = 0 の2つの解の和と積を求めよ。
解の公式を使わずとも:
- 解の和:α + β = -(-5)/1 = 5
- 解の積:αβ = 6/1 = 6
コツ2:片方の解から もう片方を求める
例題:2x² - 7x + 3 = 0 の一つの解が3のとき、もう一つの解は?
解の和:α + β = 7/2 片方が3なら:3 + β = 7/2 よって:β = 7/2 - 3 = 1/2
コツ3:対称式の計算
α² + β² や α³ + β³ などの対称式も簡単に計算できます。
α² + β² の求め方: α² + β² = (α + β)² - 2αβ
例:x² - 3x + 1 = 0 の解をα、βとするとき、α² + β² は?
- α + β = 3, αβ = 1
- α² + β² = 3² - 2×1 = 9 - 2 = 7
コツ4:新しい方程式の作成
2つの数p、qを解とする2次方程式は: x² - (p + q)x + pq = 0
例:解が2と-3である2次方程式を作れ。
- 解の和:2 + (-3) = -1
- 解の積:2 × (-3) = -6
- 方程式:x² - (-1)x + (-6) = 0 → x² + x - 6 = 0
よくある間違いとその対策
間違い1:符号のミス
α + β = -b/a の マイナス符号 を忘れがち。 対策:「和はマイナスb分のa」と覚える。
間違い2:係数aを忘れる
ax² + bx + c = 0 でa ≠ 1のとき、分母のaを忘れがち。 対策:必ず標準形 ax² + bx + c = 0 にしてから適用。
間違い3:重解の場合
重解のときも同じ公式が使える。α = β の場合でも α + β = 2α。
応用問題での活用例
問題:2次方程式 x² - 2x + k = 0 の2つの解の差が4となるとき、kの値は?
解法:
- 解をα、βとする(α > β)
- α + β = 2, αβ = k
- α - β = 4 が条件
- (α - β)² = (α + β)² - 4αβ より 16 = 4 - 4k
- よって k = -3
まとめ:マスターへの道筋
解と係数の関係を使いこなすポイント:
- 基本公式の完全暗記:α + β = -b/a, αβ = c/a
- 符号に注意:特に和の公式のマイナス
- 標準形の確認:係数aが1でない場合は要注意
- 対称式への応用:α² + β², α³ + β³ など
- 逆算の発想:解から方程式を作る
この関係式は高校数学の様々な場面で活躍します。2次関数、数列、確率など、多くの分野で基礎となる重要な概念なので、しっかりとマスターしておきましょう。
練習問題を解く際は、まず解と係数の関係で解けないか考える習慣をつけると、計算時間の大幅短縮につながります。