「ド・モアブルの定理」のコツ
数学のコツ
複素数の強力な味方!「ド・モアブルの定理」を使いこなすコツ
今日は、複素数というちょっと不思議な数の世界で大活躍する、**「ド・モアブルの定理」**についてお話ししたいと思います。
「名前は聞いたことあるけど、なんだか難しそう…」と感じている方もいるかもしれませんね。でも大丈夫!いくつかのコツさえ掴めば、この定理はあなたの強力な味方になってくれます。
ド・モアブルの定理って、そもそも何?
まず、ド・モアブルの定理の骨子を確認しましょう。
複素数 z を極形式で z=r(cosθ+isinθ) と表せる時、
任意の整数 n について、
が成り立つ、というのがド・モアブルの定理です。
簡単に言うと、
-
絶対値は
乗する! ( が に) -
偏角は
倍する! ( が に)
と覚えると、イメージしやすいかもしれません。
ド・モアブルの定理を使いこなすための「3つのコツ」
では、この強力な定理を使いこなすための具体的なコツを3つご紹介しましょう。
コツ1:まずは「極形式」に変換すべし!
ド・モアブルの定理を使う上で、最も重要なステップがこれです。与えられた複素数が
のような直交形式で与えられている場合、まずは極形式 に変換しましょう。-
絶対値
の求め方: -
偏角
の求め方: , となる を見つける
特に偏角
は、どの象限にあるかを意識して正確に求めることが大切です。単位円をイメージすると分かりやすいですよ。
コツ2:「
乗根」に応用する力をつける!
ド・モアブルの定理の真骨頂は、
乗根を求める際に発揮されます。zn=w となる z を求める問題(w の n 乗根を求める問題)を考えてみましょう。
w を極形式で w=R(cosΦ+isinΦ) と表し、
z を極形式で z=r(cosθ+isinθ) と表すと、
ド・モアブルの定理より、zn=rn(cosnθ+isinnθ) です。
これが w と等しいので、
となります。ここがポイント! 偏角は
ごとに同じ位置に戻ってくるので、 を忘れずに加えることが重要です。この
に を代入することで、 個の異なる 乗根が求まります。この を忘れると、解をすべて見つけられないので要注意です!
コツ3:図形的な意味を理解する!
ド・モアブルの定理は、単なる計算式ではありません。複素平面上で非常に美しい図形的な意味を持っています。
-
絶対値の
乗: 原点からの距離が 乗されることを意味します。 -
偏角の
倍: 原点を中心に角度が 倍されることを意味します。
特に、
乗根を求める場合、その解は複素平面上で原点を中心とする正 角形の頂点に配置されます。このイメージを持つことで、計算結果の検算にも役立ちますし、より深く定理を理解することができます。
まとめ:恐れずに使ってみよう!
ド・モアブルの定理は、一見すると複雑に見えるかもしれませんが、上記3つのコツを意識すれば、必ず使いこなせるようになります。
-
極形式に変換
-
乗根の を忘れない
-
図形的な意味を理解する
この定理をマスターすれば、三角関数の多倍角の公式の導出や、様々な方程式の解法に応用できるなど、数学の学習がさらに楽しくなるはずです。
ぜひ、積極的に問題演習に取り組んで、ド・モアブルの定理をあなたの武器にしてくださいね!