「近似式」のコツ
数学のコツ
数学が苦手な人のための「近似式のコツ」:複雑な計算をシンプルに!
みなさん、こんにちは!
渋谷数学塾塾長の清水です。
「近似式」と聞くと、なんだか難しそう…と思う方もいるかもしれません。でも、実はこれ、複雑な計算をぐっとシンプルにする、とても便利なツールなんです。数学が苦手な人ほど、「近似」の考え方をマスターすると、問題が驚くほど簡単に解けるようになることがあります。
そもそも近似式って何?
簡単に言うと、近似式は「だいたい同じくらいの値になる式」のことです。例えば、テストで正確な答えを出す必要がないときや、手計算で大体の値を知りたいときに役立ちます。
イメージしてみてください。自動販売機でお茶を買うとき、158円のペットボトルを160円として計算しませんか?これも一種の近似です。私たちは普段から無意識に近似を使っているんです。
なぜ近似式を使うと便利なの?
-
計算が楽になる: 複雑な数式を、より簡単な数式に置き換えることで、計算の手間が格段に減ります。
-
直感的に理解できる: 細かい数字に囚われず、大まかな傾向や関係性を把握しやすくなります。
-
ミスが減る: 複雑な計算は、それだけ計算ミスのリスクが高まります。近似を使うことで、ミスの可能性を減らせます。
近似式のコツ:これだけ押さえればOK!
近似式を使う上で、いくつか「これだけは知っておいてほしい!」というコツがあります。
1. 「ほぼ0」の感覚を掴む
近似式の中心にあるのが、「とても小さい数を無視する」という考え方です。
例えば、xが「とても0に近い数」だとします。このとき、
-
は「ほぼ1」と考えることができます。
-
や といった「 を2回、3回かけたもの」は、 自体が小さいので、さらにものすごく小さくなります。だから、「ほぼ0」として無視できることが多いのです。
例:x=0.01の場合
1+x=1.01
x2=0.0001
は に比べて圧倒的に小さいですよね?この「無視できるレベルの小ささ」を見極めるのが、近似の第一歩です。
2. 有名な近似式を覚える(代表例2つ)
いくつかの近似式は、高校数学や物理で頻繁に登場します。特に重要な2つを覚えておきましょう。
-
(1+x)n≒1+nx (x≒0 のとき)
これは非常に強力な近似式です。
例:1.02=(1+0.02)1/2 の近似値を求めたいとき
n=1/2, x=0.02 なので、
(1+0.02)1/2≒1+(1/2)×0.02=1+0.01=1.01
実際の値は約1.00995なので、かなり近い値が出せます。
-
sinx≒x (x≒0 のとき)
角度が非常に小さい場合、sin(サイン)の値は、その角度(ラジアン単位)とほぼ同じになります。物理の波動や振動の分野でよく使われます。
例:sin0.01 は、約0.01です。
3. 「どのくらい近似していいか」を意識する
近似はあくまで「だいたい」です。どれくらいの精度が必要かによって、どこまで無視するかを判断する必要があります。
-
選択肢の中から一番近いものを選ぶ場合: 大胆に近似してもOKです。
-
ある程度の正確さが必要な場合: 無視する項を慎重に選びましょう。
練習問題にチャレンジ!
では、実際に近似を使ってみましょう。
問題:電卓を使わずに、
のおよその値を求めてみましょう。考え方:
0.98=1−0.02 と書けますね。
つまり、0.981=1−0.021 です。
ここで、x=−0.02 として、(1+x)n≒1+nx の形に近づけます。
1−0.021=(1+(−0.02))−1 と考えると、n=−1, x=−0.02 なので、
≒1+(−1)×(−0.02)
≒1+0.02=1.02
電卓で計算すると、
なので、かなり近い値が簡単に求まりましたね!
まとめ:近似はあなたの味方!
近似式は、完璧な答えを出すためのものではなく、複雑なものをシンプルに捉えるための道具です。数学が苦手だと感じる人も、まずは「ほぼ0」の感覚を掴み、代表的な近似式を実際に使ってみてください。
「こんなざっくりでいいの!?」と思うかもしれませんが、その「ざっくり」が、実は数学の深い理解に繋がることもあります。近似を味方につけて、数学のハードルをグッと下げていきましょう!