「ロピタルの定理」のコツ
数学のコツ
数学が苦手でも大丈夫!ロピタルの定理を「ずる賢く」使いこなすコツ
みなさん、こんにちは!
渋谷数学塾塾長の清水です。
突然ですが、数学の「極限」って聞いたことありますか?
「ああ、なんか難しそう…」「
をどんどん近づけるやつでしょ?」って思った方もいるかもしれませんね。極限の計算って、途中で「あれ?これ、どうすればいいの?」って手が止まっちゃうこと、よくありますよね。特に「不定形」と呼ばれる「 」とか「 」が出てきた時なんかは、「もうお手上げ!」ってなっちゃいます。でも、安心してください!そんな時に、まるで魔法のように計算を楽にしてくれる「ずる賢い」方法があるんです。それが、今回ご紹介する**「ロピタルの定理」**です!
「定理」って聞くと、また難しそうな顔になっちゃうかもしれませんが、大丈夫!ポイントを抑えれば、数学が苦手な方でもバッチリ使いこなせるようになります。
ロピタルの定理って、結局何者?
簡単に言うと、ロピタルの定理は、**「
」や「 」の形になった極限を、微分を使って簡単に計算するためのルール」**です。イメージとしては…
複雑でごちゃごちゃした分数式(極限の計算で出てくるやつ)があったとします。このままだと、どこに辿り着くのかサッパリわかりません。
そこで、ロピタルの定理が「よし、ちょっと整理しようか!」と言って、分子(分数の上の部分)と分母(分数の下の部分)をそれぞれ別々に微分するという、とってもシンプルな作業を提案してくれます。
すると、あら不思議!元の複雑な式が、グッとシンプルになって、極限の値がパッと見つけられるようになるんです。
「
」と「 」って何?
ロピタルの定理を使う大前提として、極限を計算しようとした結果が「
」か「 」の形になることが挙げられます。-
0/0(ゼロ分のゼロ):
例えば、x を 1 に近づけるときに、分子も 0 に、分母も 0 になってしまうような形です。
例: limx→1x2−1x−1 (x=1 を代入すると 00 になりますね)
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∞/∞(無限大分の無限大):
例えば、x をどこまでも大きくしていくときに、分子も無限大に、分母も無限大になってしまうような形です。
例: limx→∞x−32x+1 (x が大きくなると、分子も分母もどんどん大きくなりますね)
これらが出てきたら、「よし、ロピタルの定理の出番だ!」と心の中でガッツポーズしましょう。
ロピタルの定理、使い方ステップ!
たったこれだけ!本当にシンプルなんです。
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ステップ1:まずは「不定形」か確認!
計算したい極限が、本当に x を近づけたときに「0/0」または「∞/∞」の形になるか確認します。ならない場合はロピタルの定理は使えません。
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ステップ2:分子と分母をそれぞれ微分!
分子の関数だけを微分して新しい分子にし、分母の関数だけを微分して新しい分母にします。
注意! 商の微分法ではありません!それぞれ単独で微分するだけです。ここがポイント!
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ステップ3:もう一度極限を計算!
新しくできた分数式で、もう一度極限を計算してみます。もしこれで値が出れば、それが答えです!
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ステップ4:もしまた「不定形」になったら?
もし、ステップ3でもまた「0/0」や「∞/∞」の形になってしまったら、心配いりません。**ステップ2とステップ3を繰り返します。**つまり、さらに微分して、もう一度極限を計算してみるんです。これを答えが出るまで繰り返します。
例を見てみよう!
実際に例で見てみましょう。先ほどの
の例です。
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ステップ1:不定形か確認!
x=1 を代入すると、分子は 1−1=0、分母は 12−1=0。
→ はい、0/0 の不定形です!ロピタルの定理が使えます!
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ステップ2:分子と分母をそれぞれ微分!
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分子
を微分すると -
分母
を微分すると
これで、新しい式は
になりました。 -
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ステップ3:もう一度極限を計算!
limx→12x1
x=1 を代入すると →2×11=21
答えが出ました!なので、
です。
どうですか?もしロピタルの定理を使わなければ、分母を因数分解して約分する、という少し面倒な作業が必要でした。でも、微分するだけでパッと答えが出ちゃいましたね!
ロピタルの定理の「コツ」まとめ
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「不定形(
か$\infty/\infty$)」を見つけたら、ロピタルを思い出す! これが一番大事なサインです。 -
分子と分母は「別々に微分」する! 商の微分じゃないよ!ここを間違えないで。
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答えが出るまで「微分&極限計算」を繰り返す! 何度やっても大丈夫。
最後に
ロピタルの定理は、極限の計算をぐっと楽にしてくれる、まさに「ずる賢い」強力なツールです。最初は「微分?極限?」と難しく感じるかもしれませんが、何度か練習してステップを踏んでみれば、きっと使いこなせるようになります。
数学が苦手な方も、ぜひこのロピタルの定理をマスターして、極限の問題に自信を持って挑戦してみてくださいね!
それでは、また!